自分の街を好きになる。
そんな思いから「さざなみ」は生まれました。
地球規模で進む環境の変化は、すでに多くの国と地域で人々の生活に深刻な影響を与えています。悪化し続ける気候変動、プラスチックによる環境汚染、貧富の差の拡大、絶え間ない争い。人間が健康で幸せに暮らし続ける世界を維持していくにあたり、社会における様々な問題から目をそらさず、一人一人が自分自身の問題としてとらえ、真剣に向き合う必要があります。
人は自分自身の内にないものを与えることはできません。自分を大切に思えない人が、他人に優しくできないように、まずは自分の住む街を知り、その土地を大切に思う気持ちがなければ、遠い世界の知らない土地や人々の未来を自身の問題としてとらえることはできないでしょう。
誰一人取り残さない、持続可能な社会の実現のため、地域住民、有識者、企業、官公庁など広い分野の仲間たちが集う活動です。
さざなみの設立によせて
当法人の設立に当たり、構成員および支援いただいている方々からのメッセージを紹介します。
岡田光正(NPOさざなみ監事・東邦大学名誉教授・理学博士・社団法人あったか大久保ひろば代表理事)
東京湾奥部の干潟は、東京者にとっても潮干狩りでなじみが深い場所でした。春の遠足や町会のイベントでは干潟でコメツキガニを追い、コブシガニと遊びました。潮が満ちてくる迄粘って、ハマグリとアサリを網袋にいっぱい採った思い出があります。今は習志野の海は全て岸壁になり、テトラポットに下りなければ、海に触れることはできません。周辺の都市には人工的であれ浜に下りられる場所があります。本市でも突堤をつくるなど、何か工夫をすれば、市民が海を知り、そこに生きる生物を含めて海を大事に考えるのではないでしょうか。海辺を清掃することが、習志野の海のあり方への提案に結びつくことを期待しています。余談ですが、私たちの「ほたる野を守るNORAの会」は実籾の田んぼの維持とヘイケホタルの復活活動を行っておりますが、そのほたる池に、なんとモクズガニが現れました。浜から数キロを川や暗渠をたどってやって来たのです。シギ、アオサギ、コサギも現れます。海と里山はつながっています。これらの生き物のためにも、美しい浜の復活が望まれます。
高見俊雄(習志野の海を守る会顧問・習志野市総合教育センター教育相談員)
相澤友夫(株式会社いしとも取締役会長・一般社団法人船橋市観光協会相談役)
佐藤邦政(哲学博士・茨城大学教育学部助教・ニューヨーク市立大学大学院センター客員研究員)
現代は、世界の不正や社会の不当な抑圧に向けて一人ひとりが立ち上がる勇気が大切な時代だと思います。でも、それは一足飛びに大規模なデモを喚起したり参加したりするといった難しいことをすることではなく、SNSで身近な惨状を伝えたり、自分の街のボランティア活動をとおして環境汚染への懸念を共有したりすることで、人々が呼びかけ合い応答し合うことなんだと思います。こういった地道な活動をつうじて、世界や社会と対峙するのではなく、世界や社会そのものを内側から変容させていく。
島田拓さんを代表とするこのNPO法人はそういったことができると期待していますし、そのために人と人との網の目のネットワークの一つひとつを大切にする機関であってほしいと思います。
島田拓(NPOさざなみ理事長・医学博士・消化器外科専門医)
生まれたての赤ん坊がつまずき、傷つき、数々の問題を乗り越えて、深い愛情を身につけた強い大人になるように、街もさまざまな困難を乗り越えて現在の形に至ります。こうした歴史から目を背けるべきではありません。過去の過ちや先人の努力と真摯に向き合うことで、現在が見えてくるからです。
あなたが誰かを愛するときには、その人を理解しようと努めるように、我々が郷土を大切に思い、そこで未来の世界を担う子供たちを育てていくときに、自らが住む街の歴史を知ることは欠かせません。
沖から大量に押し寄せる海ごみで汚染された海岸も、失われつつある山野も、守るためにはまず現実に目を向けることから始まります。人と自然が調和し、平等で争いのない世界の実現のためには、志を共有する仲間たちが力を合わせなければなりません。そうした思いの礎を形あるものにすべく、当法人は設立されました。共に歩んでいける方々を心よりお待ちしております。